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自動倉庫型ロボットの能力を独自に分析し徹底比較!

2025.12.24

自動倉庫型の物流ロボットがトレンド

倉庫自動化のソリューションとして近年トレンドになっているのが、自動倉庫型の物流ロボットです。
高さが倉庫の天井近くまである高層の棚に格納されたビン(Binは日本語に訳すと「容器」。ビンの他に、トートやコンテナ、ケース、カートンとされることもあります)をロボットが取り出し、作業ステーションまで搬送することでGTP(Goods To Person)方式を実現するソリューションです。Binを扱うことからBTP(Bin To Person)とも呼ばれます。

主に次のようなメリットがあります。
・高層の棚に高密度でBinを保管することで、高い保管効率を実現できる。
・Binという小さな単位で荷物を扱うため、多品種少量かつ変量の物流に対応しやすい。
・作業者の歩行が削減され、生産性が向上する。
・誤ピッキングが起きにくくなり、在庫管理の精度も上がるなど、倉庫管理の品質が向上する。

荷主企業から3PL事業者に対して、自動倉庫型ロボットを利用することを前提とした提案依頼が出ることも多くなっており、このソリューション群に対して理解を深め、上手く活用するノウハウを持つことはより重要になってきています。
自動倉庫型ロボットにはいくつかのタイプがあり、それぞれ特徴があるため、その内容を考察して紹介します。
また、T5では自動化の企画から最適なソリューションの選定、現場での導入までワンストップでご支援しておりますので、お困りごとやご相談などございましたらぜひお問合せください。
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自動倉庫型ロボットのタイプ分け

構造によって5つのタイプに分類

自動倉庫型ロボットを、その構造によって次の5つのタイプに分類します。
棚からビンを取得する部分と、取得したビンを作業ステーションまで搬送する部分の、2点に着目しています。
①ACR/CTU
②大型棚搬送
③クレーン+搬送ロボット
④1ロボット
⑤ジャングルジム


この後のパートで、各タイプの概要を紹介すると共に、保管効率や処理能力の違いについても考察していきます。

以前は、各ロボットメーカーがそれぞれ得意とする1種類のタイプを提供している、という印象でした。
ですがここ最近は、1つのメーカーが複数のタイプを並列でラインナップするようになってきています。
例えばギークプラスはもともと「②大型棚搬送」にあたるPopPickに注力していましたが、最近では「①ACR/CTU」や「③クレーン+搬送ロボット」もラインナップに加わっています。
他のメーカーでも同様の状況が見られます。同じメーカーが複数のタイプを揃えることで、ユーザーとしては、タイプを比較するという部分にはメーカーによる情報量の違いや競争関係の影響が無くなるため、自社にどのタイプがよりフィットするかを判断しやすくなるものと思われます。


①ACR/CTU
代表的なソリューション
※括弧内はソリューションを提供するメーカー名。以降同じ。
HaiPick(HAI ROBOTICS)
QuickBin(Quicktron)
CTU(HIK ROBOT)


QuickBin(出展:Quicktron)

◾️概要と構造
ACR(Autonomous Case-handling Robot)もしくはCTU(Carton Transfer Unit)と呼ばれます。ケースやカートン(=ビンと同様)単位の荷物をハンドリングする、自律移動するロボットを指します。
高層の棚から、ロボット(親機)がビンを取得し、それを棚の一番下の段に仮置きします。そのビンを、小さな搬送ロボット(子機)が1つずつ取得して作業ステーションまで搬送します。
棚の下2段をビンの仮置きスペースにして、子機がビンを2つずつ搬送するようなタイプもあります。

こちらのQucikBinの紹介動画でおおよその動きを見ることができます。
親機は棚の間を、子機は棚の下を、それぞれ通行するので渋滞が起きにくくなっています。
Quicktron New Product Launch: M5F

◾️保管効率
棚の高さは最大だと10メートル以上とされていますが、安定感を持って使いやすいのは7メートルくらいまでではないかと考えられます。通路幅は1.0~1.2メートル程度です。
※この後、保管効率や処理能力について、この「①ACR/CTU」を基準として他のタイプ(②~⑤)の特徴を考察していきたいと思います。

◾️処理能力
・親機から棚、棚から子機へと2度の受け渡しが必要なことは、「③クレーン+搬送ロボット」や「④1ロボット」と比較すると効率面では不利と考えられます。
・出荷の前日までにオーダー情報を確定させられる場合は、準備時間が取れるため、あらかじめ棚の下部に対象のビンを集めておくことで高い能力を発揮することができます。

◾️冗長性
親機も子機も棚に固定されず自在に動けるため、ロボットに故障があるなどして台数が減っても運用を継続できる冗長性があります。

◾️施工/メンテナンス性
棚は一般的な物を使えるため施工が容易です。一方で、ロボットは親機と子機に分かれる上に、親機は高さもあるためメンテナンス性が高いとは言えません。


②大型棚搬送
代表的なソリューション
PopPick(ギークプラス)

(出展:ギークプラス ASKUL社への導入事例のリリースより)

◾️概要と構造
約4メートルの棚に60個のビンを集積保管して、その棚を搬送ロボットが作業ステーションまで搬送します。
作業ステーションにはクレーンが備わっており、クレーンで対象のビンを取り出して作業者の手元に届けます。

PopPickの特徴を1分で紹介する動画があります。
PopPick system explained in 1 minute ⏰

◾️保管効率
高さ4メートル程度になるため、他のタイプと比較すると保管効率としては不利になると考えられます。
ただし、日本の倉庫の多くは天井高5.5メートル程度ですので、その条件であればそう大きな差はないとも言えます。

◾️処理能力
・作業ステーションで棚から作業者の手元へビンの受け渡しが発生します。受け渡しはこの1回のため、「①ACR/CTU」より有利です。
・出荷の前日までにオーダー情報を確定させられる場合は、準備時間が取れるため、出荷対象になるビンをあらかじめ同じ棚に集約して棚の移動を効率的にしたり、逆に、複数の作業ステーションの稼働が平準化されるよう、出荷対象になるビンを複数の棚に分散させておいたりすることで、出荷当日の生産性を高くすることができます。

◾️冗長性
固定されていない棚を搬送ロボットで運ぶというシンプルな構造であるため、ロボットの数に増減があったりしてもそのまま運用を継続できる冗長性があります。

◾️施工/メンテナンス性
作業ステーション以外は固定設備でもないため施工が容易です。ロボットも床面を走行するものなのでメンテナンスが容易です。


③クレーン+搬送ロボット
代表的なソリューション
AirRob(Libiao Robotics)
Nano-Stream(ROMS)

AirRob(出展:プラスオートメーション)

◾️概要と構造
高層棚の列毎にクレーンタイプのロボットが備え付けられており、このクレーンが棚からビンを出し入れします。
AirRobの場合は、クレーンで取り出したビンを床面を走る搬送ロボットに直接受け渡します。
Nano-Streamの場合は、「①ACR/CTU」で説明したのと同じように、棚の一番下の段にビンを仮置きして、それを搬送ロボットが取得します。
それから、搬送ロボットが作業ステーションまでビンを運びます。

こちらのAirRobの紹介動画でクレーンの動作やスピード感を見ていただけます。
AirRob製品説明動画

◾️保管効率
棚の高さは10メートル程度まで対応できます。通路幅はクレーンが通れればOKなため0.8~0.9メートル程度にすることができ、保管効率としては有利になりやすい構造です。

◾️処理能力
AirRobの場合、クレーンから搬送ロボットに直接ビンを受け渡しするため、効率面で「①ACR/CTU」よりも有利と考えられます。ただし、ビンを仮置きするスペースはないため事前準備はできません。

◾️冗長性
棚の列毎にクレーンが備え付けになるため、列を跨いでクレーンを動かすことができません。冗長性の観点ではやや不利と考えられます。

◾️施工/メンテナンス性
施工の難易度は高くありません。ただし、クレーン部分は専門業者によるメンテナンスが必須になります。


④1ロボット
代表的なソリューション
Skypod(EXOTEC)
HaiPick Climb(HAI ROBOTICS)

Skypod(出展:EXOTEC)

◾️概要と構造
小型のロボットが高層棚を昇り、ビンを取得して降りて来て、そのまま作業ステーションまで搬送します。
ロボット1台でビンの取得と搬送の両方に対応できることから、「1ロボット」タイプと呼んでいます。

Skypodの紹介動画でその動作の様子を見ていただくことができます。
Exotec | Next Gen | Skypod

◾️保管効率
棚の高さは10メートル程度まで対応することができます。Skypodの欧州の事例では10メートル超の高さで導入された実績もあります。通路幅は小型のロボットが通れればOKであるため、1メートル程度で済みます。

◾️処理能力
小型ロボットが無駄なく動作します。台数を増やすことで高い能力を発揮することができます。

◾️冗長性
ロボットが1種類しかなく、どの棚にも自在に走行して行けるため、冗長性に優れています。

◾️施工/メンテナンス性
棚の精度や床面の品質などに対して要求が高く、施工の難易度が高いです。ロボットが1種類なのでメンテナンスはしやすいですが、棚の昇り降りと搬送の両方を担うロボットであるため機構が複雑であり、その分メンテナンスの難易度が高くなります。


⑤ジャングルジム
代表的なソリューション
AutoStore(AutoStore)
ラピュタASRS(ラピュタロボティクス)

AutoStore(出展:AutoStore)

◾️概要と構造
ジャングルジムのように格子状に棚枠を組んで、その中にビンを詰め込むような構造です。AutoStoreの場合はジャングルジム上部をロボットが走行してビンを出し入れします。
ラピュタASRSの場合はビンの隙間を通路としてロボットが走行し、ビンを取得します。そして、そのビンを作業ステーションまで搬送します。

こちらのAutoStoreの紹介動画で一連の動きを見ていただくことができます。
AutoStore | Why AutoStore’s Stacked Bin Design Won’t Slow You Down, It’ll Speed Up Your Operations

◾️保管効率
AutoStoreは通路スペースも必要とせずビンを集積して保管できるため、非常に高密度になり、保管効率が高くなります。
ただし、高さを活かすことは、すなわち深さも増すことであるため、ビンの出し入れにより時間が掛かるようになり、処理能力は発揮しにくくなります。

◾️処理能力
・出荷のあったビンは棚の上部に戻されます。そのため、出荷頻度の高いビンは上部に集まることになり、この出し入れには時間が掛かりません。
一方で、出荷頻度が低く、棚のより深い部分に保管されたビンを取得しなければならない場合、どうしても時間が掛かります。トータルでは処理能力は上げづらいものと考えられます。
・出荷の前日までにオーダー情報を確定させられる場合は、準備時間が取れるため、あらかじめ棚の上部に対象のビンを集めておくことで能力を高めることができます。

◾️冗長性
ロボットは1種類で、棚のどの部分でも対応できるため冗長性に優れています。

◾️施工/メンテナンス性
棚の精度に対して要求が高く、施工の難易度が高いです。ロボットは1種類なのでメンテナンスはしやすいです。


株式会社T5では、自動倉庫の具体的な設備選定に進む前段階で、
現在の状況を整理する「上流検討・壁打ち」の支援も行っています。

「まだ設備を決める段階ではない」「ベンダーに声をかける前に、一度整理したい」というタイミングだからこそ、第三者視点で前提条件を整理することが、結果的に最短ルートになるケースも多くあります。

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